もう一度、恋をしてもいいですか?
「ただいま」
と誰もいない自宅に入り
冷蔵庫から缶ビールを取り出し
一口含むと
ソファーに腰を沈めた。
ここは真知の両親が
残してくれたマンションの一室。
母親がこだわって揃えた
家具や電化製品がそのまま
置かれている。
2年前、真知は
両親を一度に亡くした。
当時、
結婚していた身にもかかわらず
真知は一人ですべてを取り仕切った。
華枝や大地の助けを借りて
ようやく泣くことができたことを
いまもよく覚えている。
ソファにそのまま横たわり
眠りについた。