奴隷少女と我儘王子
それは『呪われた子』の私には余りにも分不相応な評価だ。けれど、私が文字を覚え、計算を覚えたのも、全てあの村だ。だから--私があの村で生きた8年間が無駄ではなかった、とそう言われた気がした。
「あ、りがとうございます……」
それ以降、特に会話をすることもなく私たちが乗っている馬車は王都へ向かう。
《名も無き村》から王都までは近く、徒歩ならば1日、馬車ならば半日で到着する。
この《オルフォード・アイン大国》は領土が小さいため、街や村が他の国に比べると近いのだ。私は《名も無き村》から出たことが1度もないので、外がどれほど危険かは分からないけれど……問題が起こることもなく、予定通り王都に到着した。
< 22 / 37 >

この作品をシェア

pagetop