奴隷少女と我儘王子
「私の店は《富裕層》にある。あの壁の向こうだ」
奴隷商人さんはそう言って、窓から見える円状の高い石壁を指さした。
「《富裕層》……?」
「そうだ。王都には大きくわけて3つの区画が存在する。今私たちがいるのが《下級層》だ。主に平民が暮らしている。その内側にあるのが《富裕層》だ。主に商人や下級貴族が暮らしている。更に内側にあるのが《上級層》だ。ここにはオルフォード城があり、限られたひと握りの人間しか入ることが出来ない」
私が知らないことも承知の上なのか、嫌な顔ひとつせずに一息に説明をしてくれた。
「つまり、《上級層》を囲むように《富裕層》があり、それを囲むように《下級層》があるのですか?」
「そうだ。それぞれにあの石壁があり、通るためには必ず幾つかある入り口を通らなければならない」
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