私の恋は、期限つき
「泣かないで下さい。婚約者を心配させるようなことしませんから。」

大我さんの言葉に頷くも、涙は、簡単にとまってくれなかった。

そんな私に大我さんは、唇を目尻につけ、涙を救ってから口付けしてきた。

ゆったりと優しい、気持ちが穏やかになるようなキス。

さっきまでの気持ちが嘘のように落ち着いていく。


額と額をコツンとあて…
「やっと、泣き止みましたね。」

そう言って、大我さんが微笑んだ。

なんだか、恥ずかしくなってはにかんでしまっていると…

「そんなかわいらしくされると、二人きりになりたくなってしまいます。」

言われていることが、よくわからなくて首を傾げてしまう。

「フッ…許しを貰えるまで我慢しますね。
それでは、行きましょうか。」

そう言って、シートを元に戻して再び車が発進した。


プロポーズの返事も待ってもらっているのに、私のことを婚約者と言ってくれる。

そして、なんだか大我さんは、いろいろと私のことをわかってるんじゃないかと思うときがある。


いまもそうなんだけど…、私の誕生日まで待たせてしまうのに、決して焦った様子が見られない。

私の人を見る目は、お墨付きなんだけど…

自分に対してのことだと、不安になってしまう。


私からアプローチしたくせに、プロポーズの返事を待ってもらうなんて矛盾を感じてしまうのに、それに対して大我さんが変わらずに接してくれるのがうれしい。

大人な大我さんは、きっと素敵な女性からモテるんじゃないかとヤキモキしてしまう自分に嫌になる。







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