私の恋は、期限つき
「白石俊司くん。改めまして、ケイト·スミスです。よろしく。」

「はい」

ケイトから握手を求めてそれに俊司が握手を返す挨拶をした。


「そうそう、凛にも挨拶。」
ケイトはそう言って、隣に座る私の頬にキスをした。


「ケイト、ここは、日本なんだからそんな挨拶いらないのよ。」


「いいじゃないか、愛しの従妹への挨拶なんだから。」


「ハイハイ、それでなんで俊司をスカウトしたの?」


「それは、俊司くんの書いた論文の研究を我が社で行ってほしいからだよ。論文の実用化には、年月がかかる。研究室でするより、会社にきてもらったほうが、途中経過もすべて独占できるし、研究のための設備も資金も整っている。研究アシスタントもすでに手配しているよ。」


「さすが手回しがよいわね。で、ケイト自らが来たのは、なぜ?」

「そりゃ、本人への意思確認とついでに従妹どのに会いにきたのさ!」


へらっと言ってのける。

どちらがついでなんだか、しかも俊司に有無を言わせない迫力を出しているくせに、私が同席するだろうことも折り込み済みなんだろう、まったく食わせものなんだから。


「で、白石俊司くんには、この書類にサインをしてもらいたい。研究室は、日本にもあるんだが、できればアメリカに来てもらいたい。アメリカに来るしたくがあるだろうから、1週間、ご家族と話し合ってくれ」

そう言って契約書類と移転やアメリカで働くための手配を説明する。
俊司は、ただ聞いているだけだ。
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