私の恋は、期限つき
家からの最寄り駅について、家まで歩く。


「凛は、帰ってきちゃってよかったのか?」

「うん、事務所での仕事は、終わったからね。また夜にも仕事に行かないといけないし…」

「そうか…」

「アメリカいくなんて、お家大丈夫なの?
俊司って一人っ子じゃん。」

「それは、そんなに問題じゃないよ。うちの親は、サラリーマンだしね。」

「そっか、なら就職祝いしないとね!なにか欲しいものある?」

「…」

「どうしたの?」

就職祝いのものを考える俊司は、どこか挙動不審な感じがする。
なにを考えてるんだろ?

「なんでもよいよ。」

「なんでも?」

「うん」

なんだかいつもと様子が違う。
って、今日ずっとだな。

「凛の…キスが欲しい」

「へっ?」

思ってないものを言われて、変な反応しかできなかった。

「そんなかわいい反応して…頬とかじゃなくて、唇に頼むな。」

「えっ、えっ、えっ…」

「俺、ホントは、迷ってたんだけど…ケイトさんに言われたんだ。
凛と一緒になりたいとか考えてるなら、それなりの男にならないとダメだって…
だけど、普通のサラリーマンじゃ、そんな存在になれない、だけどアメリカに行って実力を発揮できれば…
って言われたんだ。
俺…頑張るよ。凛の気持ちが向いてくれるように…
そんな顔をするなよ、キスは、冗談だから。笑って見送ってくれ。」

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