私の恋は、期限つき
そこまで聞いたのは、よいけど…
そこからどうしたらよいのが、わからない。

だって、経験ないんだもん。



「じゃ、ごちそうさまでした。」

そう言って新川さんは、立ち上がった。


帰ろうとする新川さんのスーツの裾をつい握りしめてしまった。


「どうしました?」

静かに尋ねてくる。


「あ…あの…」

なにを言えばよいのか、言葉にならない。

「また来ますよ。安藤さんの顔を見に。」

新川さんにそう言われて、頭をポンポンと撫でられると、また顔を赤らめてしまう。


「今度、食事に一緒してください。」

やっとのことでそう言った。


「よいですよ。」


「えっ、…ホントに…?」
赤らめて、俯いていた顔を上に向ける。

「ええ、後で連絡しますよ。」

新川さんは、ニッコリと微笑みそう言ってくれた。







机に戻ると美香さんが
「凛ちゃん、やったじゃない!」

と声をかけてきた。
「はい、まず一歩です。」


そう、第一関門突破ってとこだ。

「彼女いないって言ってたし、脈ありじゃない?」


「美香さん、そうですかね?」


「食事の誘いに、社交辞令で乗ったと思えないわ。大人な男性だし、凛ちゃん申し分ないわよ。頑張ってね。」


「はい、頑張ります。」

ガッツポーズをして気合いを入れる。



出会いをあれこれ模索しているが、まだよいと思った相手と食事に行ったりしたことがない。

うまくいけば、初めてのデートだ。
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