私の恋は、期限つき
「新川さんのが、素敵ですよ。」

素直に口にした。
そう、ケイトなんかより、新川さんのが素敵だ。


「おや、うれしいですね。」

「ホントですよ。」

こんなこと言ってる私は、きっと顔を赤らめているだろう。

「そうですね。こうして食事に来てくれていることですしね。」

「いえ、私が誘ったんですから…」

「…どうして、私を誘ったんですか?」

ん?俯きかけた顔を、上に向けて新川さんを見る。
少し迷っているような表情をしている。

ケイトといたから、誤解されてる?


「あ…あの…ケイトとは、ホントに関係なくて…」

「はい。先ほども聞きました。」

あぁ~、そうだった。

「私…新川さんのこと、…好き…みたい…」


やっとのことで言った言葉は、新川さんを驚かせたようだ。


「あ…迷惑ですか?」
新川さんの表情を見て、つい口をついて言葉が出てしまった。

「いえ、うれしいですね。」



へっ?うれしい?


新川さんの顔をじっと見たまま固まっていた。

そんな私の頬に新川さんの手が添えられて、新川さんの顔が近づく。



えっ、こんなとこでキスとかされちゃうの?

きゅっと目を瞑ってしまった。


「私も、安藤さんのことを、気にしてました。かわいいし、仕事もよくできる人だと…
男の前で目を瞑ってしまうなんて、無防備ですよ。」

耳もとに囁かれるように言われて、さらに顔を赤らめてしまう。
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