私の恋は、期限つき
目を見開くと、目の前に優しげな新川さんの顔があった。

「ホントにかわいいですね。そんな目をしてたら、誘惑されそうです。」


えっ?どんな目をしてるんだ?

「わかってないみたいですね。安藤さん、いままでお付き合いしたことは?」


「…な…く…て…」


「こんなにかわいいのに、いなかったんですか?」


小さく首を縦に振るのがやっとだった。

「おやおや、それなら私が光栄な初の彼氏になってもよろしいんでしょうか?」


新川さんの言葉が信じられなくて頭がパニックを起こしそうだった。


「私を初めての彼氏にしてください。」

と、さらに言われて。
縦に首を振った。


そうしたら、新川さんが私の頬に唇を寄せたあと、抱きしめてくれた。

ドキドキ、ドキドキ胸の鼓動がうるさくて…


こんなことあってよいんだろうか?
夢じゃないかな?


そう思って、頬をつねってみたら痛かった。

「痛っ!」

「なにしてるんですか?」

「えっ?夢じゃないかと思って…」

「ホントにかわいい人だ。そんなことして、頬が赤くなってしまってるじゃないですか?」

そう言って、つねった跡にキスしてくれた。


今度は、実感できてすごく顔に熱が集まってしまった。


その後、家に帰るまでの記憶が曖昧で、新川さんと連絡先の交換(携帯電話番号以外)をして、お祖母ちゃんの家まで送ってもらった。
食事代は、出すつもりだったんだけど、彼氏が出すものだと言われて、新川さんが支払いした。


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