私の恋は、期限つき
「ちょうど3時のおやつにいただいてよかったわね」

美香さんが、社員さんたちのお茶を注ぎながら話す。

「ホント、タイミングよかったですよね。しかもこの餡子、上品な味わい。」

「社長がいないのわかってて、来たんじゃないの?」

「まさか~、きっとたまたまですよ。」

私が社員さんたちのお茶菓子を用意しながら言う。

「美香さん、お煎餅が無くなりそうですから、後で買い物行きますね。」


この会社では、午前10時と午後3時半に休憩がある。

工場内の人たちは、朝早くから働いてる。
夜も遅くまで働いていることもある。

ほどよく休憩があったほうが、効率がよくなると、昔からお茶休憩があるそうだ。


「あら、無くなりそう?じゃ、他にも必要なものがないかピックアップするから、後でお願いね。」


「はい。」


お茶やお菓子は、近所の商店街へ買い物に行く。

この商店街が、人情味あふれていてあたたかい人でいっぱいだ。

そんな街並みも私の好きなところである。


この会社に決めたのも、通うのに近かったことと、社長の人柄に惹かれたからだ。


昔かたぎなとこがあり、芯が通って少し不器用、けして営業がうまくないが、その人柄で人を引き付ける。

近所だったこともあり、評判を耳にしていた。


この社長からは、学ぶとこがありそうだと思い、たまたま事務員募集の貼り紙があったので、飛び込みで入社した。


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