私の恋は、期限つき
一人でいたからか、男性から声をかけられた。


「お一人ですか?」

そう言いながら、すでに横に座って馴れ馴れしい。

カッチリとスーツを着こなしてサラリーマンて感じだった。

「なにか?」


「失礼、こんな素敵な方がお一人でいらしたので、つい声をかけてしまいました。」

これってナンパ?

「待ち合わせですので、用がないなら席を外していただけませんか?」

少しイライラしながら言った。

少し茶髪で整った顔をしている、その男性は、席を外す様子もなく言う。

「待ち合わせの人がくるまで、ご一緒させてもらえませんか?僕も待ち合わせしてるんですが、相手が遅れているようなんですよ。」


一人で落ち着いているってのに、こんな軽そうな人と一緒になんていたくない。

「一人でいたいので、けっこうです。」

強い口調で言ってみても相手は、引く気配がない。


「そんなことおっしゃらないで、先ほどから見ていましたが、お相手がくる気配がなさそうじゃないですか?」


そう、私は、もう20分ほどここにいる。
だけど、大我さんの仕事の終わりがハッキリしなさそうだから待っているだけだ。

それを見ていたというわけだ。
なんて暇な人なんだと思った。


そんなやりとりをしていたら、相手の男性が私の手を掴んだ。
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