私の恋は、期限つき

今日は、年末最後の出勤日。
会社の大掃除だ。


「凜ちゃん、元気ないみたいだけどなにかあった?クリスマスデートは、うまくいったみたいだから、喧嘩したとかじゃないんでしょ?」

事務所の掃除をしながら、美香さんが私に言ってくる。


やっぱり、わかるよね。

複雑な気持ちなままだから、なかなか返事ができなかった。


「まさか、別れちゃったなんてわけじゃないよね。」

ビックリしたように言ってくる。

「えっ!違います。全然そんなことないです。」


「でも、うまくいってるにしては、なんだかイマイチな感じが漂ってるんだけど~」


うっ、鋭い。


美香さんに、ポツリポツリと話しをしてみる。


プロポーズをされたんだけど、突然すぎて返事ができなかったこと。


「新川さんて、ロマンチックで紳士で素敵なのね。
それで、なんで返事できなかったの?不満があるわけじゃないでしょ?」

大我さんに不満なんかあるわけない。
「それは…私に問題が…」


「どんな問題なの?
あんな優良物件、なかなかいないわよ?」

そんなことわかってます。
だけど、大問題なんですよ。
この問題を、クリアできることがあるんだろうか?


「じゃ、お付き合いやめるの?」

そう聞かれて首をブンブンと横に振る。


「その様子だと、好きじゃないからとかってわけじゃなさそうね。家庭の事情ってやつかしら?
まぁ、言い辛いだろうから、聞かないけど…
新川さんには、話して相談してみたら?
真剣ならば、それなりに対応してくれると思うわよ。
新川さんは、そんな器の小さい人だと思えないんだけどね。」


美香さんの言ってることは、わかる。

大我さんの器がそんな小さいとも思えない。

だけど、そんな問題じゃないんだ。
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