私の恋は、期限つき
「どうして涙なんか流してるんですか?」

「……」
ホント、どうして私、泣いてるんだろう?

自分でもわからなくて、なんとも返事ができない。


「凜」
真剣な眼差しで名前を呼ばれると、なおさら涙が溢れてきた。

大我さんの顔が近づいてきて、囁くように言う。
「凜は、なにも心配したりしないでよいんですよ。」

そのまま唇が重なった。

優しく、それでいて深く。

それに応えるように、私は、大我さんの背中に手を回した。


何度も角度を変えて、お互いの気持ちを確かめるように口付けする。


唇が離れたときには、私の涙は、止まっていた。


「涙が、止まりましたね。凜さんは、今まで通りでよいんです。なにも心配いらないですから、私に任せておいてください。」

「でも…」
やっぱり、返事できないことが、後ろめたい。

「気にしないでください。私は、凜さんのことを愛してるんです。凜さんは?」

「…わ…たしも…」

はっきりと伝えられる大我さんの気持ち。
私もなんとか、自分の気持ちを口にする。

「それなら、返事なんてきにしなくてよいんです。いまは、その気持ちだけで十分ですよ。
私を信じてついてきてください。」

大我さんの言葉が安心させてくれる。

「それでは、お昼ですし、なにか食べにいきませんか?」

「はい。」
私が明るく返事すると


「凜さんには、そうやって明るく笑っていてほしいんです。」

そう言った大我さんを見ていたら、スミスのこともなにも心配いらないのかと思うくらいの気持ちになった。
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