私の恋は、期限つき
「凜さん。どうかしましたか?」


私は、無意識に大我さんのことを見つめていたらしい。
目を見張るようなイケメンじゃないんだけど、洗練された動きにこの和かな雰囲気が私を惹き付けてやまない。

とくに、食事マナーの優雅さは、見惚れてしまうのだ。


「ごめんなさい。つい見惚れて…」

「いいえ、私に見惚れていただけるなんて、うれしいですよ。」


この言葉の丁寧さは、お祖母さま譲りなんだと、お会いしてわかったことだ。

大我さんの言葉は、いつも丁寧でいて堅苦しさを感じさせない。
口調は、和かで雰囲気ともよく合っている。

こういう人をイケメンだというんだろうな、なんて思ってしまう。


常に優雅で丁寧で、気づかいも、なにより心配りが細やかだ。
和かだけど、優柔不断でなく意志も強い。
会話も堅苦しくなく、難しい話しからお茶らけた話しまで、相手に合わせるのがとてもお上手だ。

企業のトップに労せずなったのでなく、それなりの実力を備えているんだと、会話からもうかがえる。


たまのパーティーなどで紹介されたボンボンなどと比較にならない。


ボンボンは、実力もなく見た目だけ磨いている輩もいるから、そんなのは、そこらのすねかじり令嬢と大差ない。


働いている男性ってかっこよい。
それだから、あの会社に入社したってのもあるのだが…
なんせ、現場に即しているから工場の人たちの真剣な姿を見てられる。

別にガテン系が好きなわけでもないんだが、働く姿を見てるねは、好きだ。


だけど…
大我さんのことは、働いている姿でなくても見惚れてしまう。
付き合うようになってから、そんなこともあるんだと自覚した。
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