私の恋は、期限つき
顔がよいだけなら、いくらでも目の保養になる輩は、いる。

だけど、滲み出る品のよさや雰囲気ってのは、簡単に手に入らない。



そういったことを思いながら…

「大我さんは、素敵ですよ。」

私が素直にそう言葉にすると、大我さんは、はにかんだ笑顔を向けてくれた。


「ありがとうございます。うれしいですよ。」


そう言われて見つめられると、私の方が照れてしまう。



一緒に食事を済ませて、ドライブをする。


大我さんのお父様に、反対されてるが、他の人からは、反対されていない。
お付き合いに関して反対されていないだけで、結婚については、別なんだが…



今日のことで、いまだに政略結婚などというものが、あるんだと実感した。

スミスでは、無かったために、イマイチ身近に感じてなかったのだ。
身近に、そんな立場の人との付き合いがなかったのも、政略結婚を実感できなかった要因だろう。


世のお嬢様と呼ばれる人たちは、それで納得してるのだろうかと思ってしまう。


政略結婚を選ぶ人は、野心家が多いのかもしれないと、大我さんのお父様を思い出しながら思った。



「なにか、考えごとですか?」

不意に大我さんにそう言われた。

ちょっと、自分の考えに籠もってしまっていたようだ。


「ごめんなさい。ちょっとぼんやりしてました。」

私がそう言うと
「凜さんは、なにも心配しないで、私に任せておいてくださいね。」
なんて言いながら、頭を撫でてくれだ。


不思議と安心できるんだけど、確信めいた大我さんは、なにか知ってるのでは、ないかと思ってしまう。


スミスの掟により、お披露目が済むまで立場を特定されないようになっているから、あり得ないんだけど…

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