私の恋は、期限つき
「私もしてみたかったんだけど、涼佳ったらすぐに渡米しちゃったから、できなかったのよね。」


お祖母ちゃんの言葉を聞いて、なんとも言えない気持ちになる。


そういえば、お父さんがはじめてお付き合いした人だとか聞いたことがある。



「お母さん、ごめんなさい。あのときは、急だったから、そんなことできなかったのよね。ろくに時間がなくて、挨拶を済ませたら、一緒に行っちゃったものね。」

そんなことをお母さんが言う。

「恋ばななんて、することないよ。」

弱々しく言ってみる。

「あら、凜ちゃん。いっぱいあるわよ。お母さんの昔話しや、お祖母ちゃんの昔話しも交えてしましょう。」



二人とも嬉しそうな表情で、これもよいかなと思ってしまう。



お母さんの馴れ初めって聞いてたけど…



「涼佳は、見初められて…、あっという間の渡米だったわね。」

「そうなのよ。ケリーったら、強引だったものね。即日に挨拶に来て、三日後には、アメリカに連れて行かれちゃったのよ。出会ってから1週間もしてないうちによ。」

「でも、お母さん、お互いに運命を感じたって言ってたじゃん。」

「そうよ。じゃなきゃ、着いていかないでしょう。」

そう言って、高らかに笑う。

「ミスコンテストのために、語学学習してたのが役立ってるしね。どう役立つかわからないから、勉強ってしといたほうがよいわね。
それにしても、ケリーに会わなければ、まだ独身だったかも…」


「えっ?お母さん、なんでそう思うの?」

「ミスコンテスト参加仲間って、意外と独身が多いのよ。見初められてって、ほんの一部。見初められなかった人は、起業したりして独身を貫いてたりするのよ。理想が高いとか、妥協できないのかもしれないんだけどね。
理想とか思う相手には、婚約者がいたりとパートナーがいることが、多いって言われたもの。」


へ~、そんなもんなんだ。
美人だからって、よいことばかりじゃないのかな?
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