カ・ン・シ・カメラ
☆☆☆

放課後になり、あたしと杏里は2人で近くのデパートへ来ていた。


「さすがに、学生が多いね」


店内には同じ制服を着た学生たちが沢山歩いている。


電車の時間までここで暇つぶしをしている子も多いみたいだ。


「そうだね。早く行かなきゃ可愛い服は買われちゃうかも」


そう言い、あたしは杏里の手を引いて大股に歩き出す。


今日は偶然にも割引セールの日みたいで、お客さんの手には沢山の買い物袋が握られている。


「ここのお店なんていいんじゃない?」


3階にある、若い子に人気の洋服屋の前で立ち止まる。


「わぁ、可愛い!」


杏里はマネキンが着ている服を見て、すぐに目を輝かせた。


よかった。


このお店は杏里の好みだと思っていたんだ。


喜んで店内を見て回る杏里に、なぜだか胸の奥がチクリと痛んだ。


杏里はきっと相手の男の人と付き合い始めるだろう。


好きでもない子とデートなんてしないもんね。


そうなると、杏里と遊ぶ時間は減って行くのかな……。
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