カ・ン・シ・カメラ
「はい」


颯のお母さんの言葉にあたしは頷く。


「ありがとう。希彩はまだ手術中なんでしょう?」


「そうみたいです」


あたしがそう答えると両親は肩の力を抜き、颯の隣に座った。


待つしかできない。


この時間はあまりにも長いものだ。


「純白、俺の手、握ってて」


小さな声で颯が言う。


あたしは無言で頷き、颯の手を握りしめた。


「ありがとう、純白ちゃん」


颯のお父さんが、不意にそう言ってきたのであたしは視線を移動させた。


「え?」


「いつも颯の支えになってくれているのを、知っているよ」


そう言い、優しい笑顔を浮かべる。


「颯は妹にゾッコンだから、正直彼女ができるかどうか不安だったんだ。


そんな時、純白ちゃんみたいないい子と付き合い始めて、本当に安心したんだよ」


そうだったのか。
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