カ・ン・シ・カメラ
☆☆☆

ベッドに戻ったあたしは、思ったよりもすんなりと眠りにつくことができた。


夢の中であたしは細い道をまっすぐに歩いていて、周囲は不気味なほどに静かだった。


歩いても歩いてもなにも無くて、ただ左右に高い塀が続いているだけだった。


陽は徐々に傾き始め、自分の影が長く長く伸びていく。


あたしは少し焦り始め、自然と歩調が速くなっていた。


その時だった。


前方が急に開け、車が通り抜けた。


十字路だ!


あの十字路を抜ければ家に帰られる。


そう思い、走り始めた。


その時だった。


長く伸びた自分の影があたしの手を掴んだのだ。


影はあたしを引きずるようにして進み始める。


「あ……あ……」


あたしは影を振り払う事もできず、前へ前へと足を踏み出す。


そして……十字路の真ん中で、不意に立ち止まってしまった。
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