カ・ン・シ・カメラ
☆☆☆

颯の連絡が来ないまま時間は進んでいき、あっという間に放課後になっていた。


今日はこれから真っ直ぐ帰っても特に用事はないし、どうしようかと迷う。


久しぶりに杏里を誘ってどこか遊びに行こうか。


そう思ったとき、杏里があたしの前を通り過ぎた。


「今日は用事があるから、先に帰るね」


「あ、そうなんだ。気を付けて帰ってね」


「うん。じゃぁまた明日ね!」


そう言い杏里は足早に教室を出て行ってしまった。


あたしはその後ろ姿を見送り、軽く息を吐き出す。


仕方ないから、あたしも真っ直ぐ帰ろう。


そう思い、カバンを持った。


その時だった。


スカートの中に入れていたスマホが震え始めたのだ。


ハッとして取り出し、画面を確認する。


颯からの着信だ!


あたしは教室から出て、廊下の隅で電話に出た。


「もしもし!?」


《もしもし、純白?》


颯の疲れ切った声が聞こえてくる。
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