カ・ン・シ・カメラ
あたしは丸椅子に座り、颯にフルーツを渡した。


颯は一気に痩せたように見える。


学校で人気の颯とはまるで別人のようだ。


「ねぇ、ちゃんと食べてる?」


「あぁ……飲み物くらいしか入らなくて」


そう言い、颯は左右に首を振った。


予想以上に落ち込んでいる颯に、あたしは少しだけ苛立ちを覚えた。


さっさと死んでくれれば、颯だって諦めがつくのに。


そんな事を思う。


「オレンジとかなら食べられるんじゃない?」


そう言い、あたしは立ち上がってもってきた フルーツ籠からオレンジを1つ取り出した。


リンゴやメロンよりも、飲みこみやすいだろう。


あたしは手早くオレンジの皮を剥き、食べやすいようにカットして颯に渡した。


「ありがとう」


颯はあたしからオレンジを受け取り、それを口に運んだ。


その様子にホッとするあたし。
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