カ・ン・シ・カメラ
颯の異常な行動に気持ちは焦る。


この子はまた殺されてしまうんだろうか?


そう思っていた時、いつものように女の子がベッドに座った。


「え……」


あたしは唖然として画面を見つめる。


いつもは希彩ちゃんにそっくりな女の子だった。


でも、違う。


今回は全然違う。


「な……んで……杏里が……?」


画面上に映し出されている女の子は、見間違うはずもなく、杏里だったのだ。


杏里は頬を赤く染め、緊張しているのが伝わってくる。


「なんで杏里がそこにいるの!?」


思わず声を上げる。


あたしはアプリを起動させらまま杏里に電話を入れた。


1コール。


2コール。


10回ほど鳴らしてみても杏里は電話を取らず、あたしは画面に視線をやった。


杏里は自分のカバンを気にしているものの、電話を取ろうとはしない。


相手がいるまえで取るのは失礼だと思っているのかもしれない。
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