カ・ン・シ・カメラ
そう思った瞬間、あたしは監視カメラの映像を見て違和感を覚えたときの事を思い出していた。


もう何週間も前の事だし、気のせいだと思ってすっかり忘れていたこと。


あたしは画面をもう一度確認した。


颯の部屋にあるベッドの向こう側。


レースのカーテンからうっすらと見えている景色。


あたしは颯の部屋を見上げて、それを確認した。


颯の部屋から見えるのは、道を挟んで隣の家の屋根だ。


でも……画面上に見える景色は違った。


見た事もない森が写っているのだ。


「うそ……でしょ……」


あたしは体中に汗が噴き出すのを感じでいた。


体が震えて、思うように動かない。


あんなに前から、監視カメラの映像は別の物を映し出していたの?


画面上の颯はマスクを付けていて、顔はハッキリとはわからない。


背丈が似ていて、髪型を似せれば本人だと思いこんでしまう。
< 170 / 224 >

この作品をシェア

pagetop