カ・ン・シ・カメラ
パッと目を開けると、クローゼットの中にはただ暗闇が存在しているだけだった。


中には何も入れられておらず、板にどす黒いシミが広がっているだけだった。


あたしはそのシミを見た瞬間、4人の死に顔を思い出してしまい、すぐに扉を閉めた。


深く呼吸を繰り返し、ベッドに座る。


クローゼットに何もないと言う事は、この部屋は普段は使われていないと言う事だ。


誰かが……おそらくは、叶さんが、女の子を殺すためだけに使っていた部屋だ。


その異常な思考回路に、吐き気を覚える。


座っているのもつらい状態だけど、4人が殺されたこのベッドに寝転がることなんて、もうできなかった。


あたしはヨロヨロと立ち上がり、ドアへと向かう。


早く、この部屋からでなくちゃ……。


その思いでドアノブに手を伸ばした時……ドアノブが、ゆっくりと動いたのだ。


あたしはその動きに目を奪われ、その場から動くこともできなくなっていた。


カチャッ……。


小さな音が部屋に響き、ドアが開く。


そして、マスクをつけた男が部屋に入ってきた。
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