カ・ン・シ・カメラ
あたしの友達が……お兄ちゃんに告白……?


途端に、杏里が顔を赤らめながら付き合い始めたと報告してきたときのことが蘇ってきていた。


杏里が恋をした相手、それはあたしのお兄ちゃん。


そうか……。


だから杏里はこの部屋に自分から足を踏み入れたんだ。


杏里のように真っ直ぐな子が、安易に男性の部屋に入るとは思えない。


でも、それが自分の彼氏の部屋なら、きっと抵抗なく入っただろう。


あたしは自分の胸がギュッと締め付けられる思いだった。


「俺は、その子の事を好きじゃなかった」


キッパリと言い切ったお兄ちゃんに、あたしは奥歯をかみしめた。


「だけど、監視カメラの事を知っていたから殺すしかなくなってしまったんだ」


辛そうな顔をしてあたしを見るお兄ちゃん。


あたしは胸の奥から怒りが湧いてくるのを感じていた。


自然と涙があふれ出し、大切な親友を奪われた悲しみが体中を支配する。
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