カ・ン・シ・カメラ
おもしろくなくて、あたしはスマホから視線を逸らす。


その瞬間、画面上に誰かの影が映り、あたしはすぐに視線を戻した。


「颯!」


そこには颯の後ろ姿が写っていて、一気に嬉しくなる。


しかし……その後から見知らぬ女が入ってきたのだ。


颯は女をベッドに座らせた。


「なに……これ……」


女はあたしと同年代くらいで、颯の部屋を珍しそうに眺めている。


颯は女の隣に座り、楽しそうに口元を緩めているのだ。


そして……颯の腕が女の肩を抱いた。


その瞬間、毛が逆立つほどの怒りが体の底から湧いてくるのがわかった。


自分でも気づかないうちにスマホを握りしめる手に力が入る。


颯は大きなマスクをつけているが、その口元が動いた。


すると隣の女は頬を染めて颯を見つめる。


そして近づく2人の距離。


誰がどう見てもいい雰囲気で、あたしカメラの映像から目が離せなくなる。


しかし次の瞬間、颯がベッドの布団の中から何かを取り出したのだ。


女は目を閉じていて気付かない。


颯が手にもったものがキラリと光る。


「え……?」


次の瞬間、今まで頬を染めて恍惚とした表情をしていた女が、表情を歪めて悶えていた。
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