意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語
「俺そのクッキー食べてない。
おい立花、俺の分は?」

「あ、でね? ありさ~」

え、はっきり言ったのに無視か。
目ぇ合ったよな? 今。

それどころか、なぜ睨まれなきゃいけない?
全く怖くないけど。
睨むだけ無駄だっての。

どうやら立花の頭の中では、フォローしてくれる優しい鈴木と、意地悪な俺、と言う構図が出来上がっているらしい。
こっちが睨みたいっての。

全く、分かってない。
本当にわかっていない。
どうしてこんなに鈍いんだこいつ!

「おい立花ってば」

「も~! しつこいなぁ!
瀬田の分はありませんよ~だ!
売り切れだもんね~だ!」

べーっと舌を出す立花。
お前、いくつだからそんなんしてんだよ。

まぁ、そんな仕草も似合っちゃって可愛いんだけど。
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