意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語
体育館裏へ回ると、いつもはない場所に、男子更衣室と女子更衣室が出来上がっていた。

「はい、お前の分」

「う、うん……」

紙袋を一つ立花に渡して、俺は男子更衣室に入る。
昨日試着も済んでいるし、着なれないタキシードに戸惑うことはない。
あ、ご丁寧に手袋まで入ってる。

さっさと着替えてカバンを持ち、更衣室を出る。
簡易的に作られたそこは、狭くて不自由だったから。

「瀬田君!」

「え?」
< 148 / 251 >

この作品をシェア

pagetop