意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語
恥ずかしいからか落ちないようにか。
俺が横抱きにしたまま移動している美空は、ぎゅっとしがみついている。
寄りかかる体温が心地よい。

「お姫様だっこ! 超萌えるね、瀬田君!」

美空、お姫様だぁ! と、隣の鈴木はそれはそれはもう、嬉しそうだ。
何度も何度もシャッター音が聞こえた。

「ほら美空、ついたから」

よっぽど恥ずかしいのか、ぎゅっと目をつぶった美空は、舞台袖について声をかけたところで、ようやく顔を上げた。
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