意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語
仕方ないな。

「ほら美空、出ておいで?」

「……恥ずかしい……」

美空は、恥ずかしがってすっぽりと俺の後ろに隠れてしまっていた。
両手でタキシードの後ろを掴んで、チラリと会場を覗いている。
だから、小動物かっての。

「しないと、終わらないんだから」

頭を撫でて、後ろから引っ張り出して、俺を向かせる。
真っ赤な顔で、見上げる瞳が潤んでいる。
ああ、もう、無理。

「ちょ……?
ん……?」
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