意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語
瀬田ひどい! いや、それお前。
鈴木が去った後、そんなやりとりを再開する。

「いっつも思うんだけど、その戦い、不毛じゃ……?」

「ははは、どうせ聞いてないって」

まだ教室に残っているクラスメイトの声が聞こえる。
どうやら見世物になっているらしい。
俺達を見ているのは、この会話をしている二人だけではないようだ。

はいはい、不毛ですよ。
でも、それが楽しいからやめられない。

とりあえず聞こえてるぞ、とそちらに目をやると、二人は目をパチクリとしたあと、冷やかすように笑った。

「ふーんだ! バカ!」

「なんだよバカ美空!」
< 42 / 251 >

この作品をシェア

pagetop