好きと言えなくて
マンションに帰ったらお化粧してみようかな。

「おい、ニヤニヤしてキモいぞ。」


目の前に田城ちひろがいた。


それにしてもお腹がすいたよ。


「明日からの予定だ。」


これは喜村マネージャーが持ってた手帳。


「これからは綾華が俺の管理を全てしろ。喜村はマネージャーの仕事に向いてないから、首にする。」


そんなの無理。


マネージャーの仕事がなんだか分かってないのに。


出来ないと言おうとしたら。


「出来ないは認めないから。」


明日からの予定が映画撮影、相手役はあの園村友加里だなんで。


嘘だ。


泣きたくなった。


「おい、飯食って帰るぞ。」


ちょっと待って、私の話を聞いて下さい。


大きな荷物を持たされ、私の話を無視して田城ちひろはエレベーターに乗り込む。


置いてかないで。


「田城ちひろのマネージャーは大変だと思うけど、君なら大丈夫かもな。」


この声はもしかして、振り返るとカメラメンの高木さんがいた。


高木さんが荷物を持ってくれる。


ありがとうございますと挨拶をすると、ちひろは我儘な奴だけど、いい役者だからな。


そう言って私の肩を叩く。


高木さんと駐車場まで一緒に行き、荷物を受けとると、遅いと田城ちひろに怒鳴られた。


直ぐ怒鳴るのは止めてほしい。












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