好きと言えなくて
田城ちひろはぐっすり眠れたようで、朝からすこぶる機嫌が良かった。


今日は確か女性誌の撮影だから、田城ちひろがいても良いのだろうか。


まさか一緒に撮影とかじゃないよね。


喜村マネージャーに内容を聞いて置くべきだった。


咲良母さんは仕事ですでに出かけてるし。


「俺が朝食作ったから、食え。」


朝からこんなに食べれない。


睨まれた状態で朝食を食べるだなんて、本当に怖いんですけど。


「今日は俺が綾華のマネージャーだからな。」


はい。


喜村マネージャーがこない。


「俺が喜村に来なくて良いと言ったから。」


どうしてそんな勝手な事を言うのよ。


でも、そんな顔で言われたら怖くて言い返せない。


「一つ聞いても良いでしょうか。今日撮影は私一人ですよね?」


「はぁ。」


何か怒るような事聞きましたか。


「綾華はずぶの素人だから、俺が一緒に撮影に参加してやろうとしてるのに。」


そ、そうなんですか。


それは有難いなんて、言えるか。


心の中で言ってみた。


結局お腹一杯食べ軽くメイクして、田城ちひろの運転する車に乗せられた。


もうすでに、食べ過ぎて吐きそうだ。





















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