好きと言えなくて

田城ちひろの元カノ

田城ちひろの元カノが気にはなっていたが、映画撮影が押していて、毎日が慌ただしく過ぎて行った。


そして今日は映画撮影最期の日。


上手く演じられたとかそんな事はどうでもよくて、本当に体を休めたかった。


でも、たくさんのスタッフさんとこの作品を作り上げたのだと言う実感があり、監督にも誉められ事は素直に嬉しい。


綾華がいなかったら、この作品は駄目になっていたと言われた。


代役でもやりがいはあったから。


みんなからのたくさんの拍手と花束を受けとると、涙が止まらなかった。


この作品に関われて本当に良かったと思う。


珍しく田城ちひろにも誉められたのだ。


「綾華が行きたい所へ連れてってやるぞ。」


嬉しい、本当に。


「じゃ、浅草と東京タワーへ行きたい。」


「マジ無理だわ。人混みが少ない所にしろ。」


なら、聞かないでよ。


もう良いです。


一人で行きますから。


３日間のお休みを貰った。


結局、この仕事を辞められそうもなく、事務所の社長にも散々言われたから、もう少し頑張ってみようと思う。


田城ちひろには好きにしろと言われたし。


咲良母さんは何事も勉強だと言った。


やりたい事が見つかるまで、もう少しこの仕事を続けようかな。


















< 46 / 51 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop