好きと言えなくて
泣くか、食うか、どっちかにしろと言われても。


涙が止まらないから、焼肉を食べるしかなくて。


いきなり頬をつままれた。


痛い。


田城ちひろを睨むと。


「涙が止まったみたいだな。帰るぞ。」


顔をごしごし擦ると、駄目だと言われた。


「綺麗な顔が台無しだ。」


「綺麗じゃないもん。」


綾華は顔も心も綺麗だから、そのままでいろと言う。


それって誉められてるのかな。


空を見上げても星は見えない。


あの頃は星座も分からないのに、夜空を眺めていた。


智尋兄がいなくなってからも、この空は繋がってると思ったから。


「泣き虫の綾華は昔と変わらない。」


本当にそうだと思う。


子供のままなのだ。


智尋兄と並んで歩けるように、早く大人になりたい。


泣き虫は卒業します。


清香さんみたいな大人になりたい。











< 50 / 51 >

この作品をシェア

pagetop