名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
『今何してるところ? お暇ですか?』


あわあわしながら思わず目を閉じると、すぐに通知音が鳴ってしまって動揺。


来た。返信が来てしまった。


ううう、と頑張って強張るまぶたをこじ開けて、固まった。


『連絡来ないかなって待ってた。暇』


——連絡来ないかなって待ってた。


短い文面に、ふわりと心が浮く。


ご飯を食べたら連絡すると言ったから、待ってたのは分かる。


そうちゃんはきっと、待っててくれるだろうとは予想してた。だってそういう律儀な人だ。


だけど、だけど。


連絡来るかと思って待ってたとか、連絡来るかなって待ってたとかじゃないんだ。


……来ないかなって待ってた。

まるで、まるでそれは。



頰が緩んで仕方ない。

ぎゅうぎゅうクッションを抱きしめてベッドに飛び込んで、ごろごろ身悶えしたのも仕方ないと思う。うん。


「…………『連絡来ないかなって待ってた』……」


そうちゃんらしさの垣間見える文面を、無声音で復唱する。


そうちゃん。


そうちゃん。


あのね、わたしね、そうちゃんの、優しいところが好きです。
< 110 / 254 >

この作品をシェア

pagetop