名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
朝、けたたましく鳴る目覚ましに珍しく跳ね起きた。

音をいつもより大きく設定しておいたのもあるけど、そうちゃんとの約束に緊張しすぎて、なんだかちょっと目が冴えていたせいだろう。


朝ごはんを手早く済ませて、着替えて、髪を整える。

急いで淹れたハーブティーを飲み干して、歯磨きを念入りにして、鏡で変なところがないか、しっかり確かめる。


服はアイボリーのシフォンワンピースと淡い緑のカーディガンにした。


ふんわり膨らんだワンピースの裾は、大ぶりの花のレースになっている。


七分丈のカーディガンは、花びらが四枚ある花の形をしたボタンがお気に入り。

粗い編み目は涼やかだから、天気のいい日に重宝している。


髪は気合いが入るようにポニーテールにしてシュシュをつけた。

毛先を軽く巻いたから、柔らかい印象の光沢のあるシュシュに似合うだろう。


ふと思いついてグロスをつけて……ごしごしティッシュで拭き取った。


わたしは今日、そうちゃんとご飯を食べに行くのだ。


気合を入れたいのはやまやまだけど、ご飯を食べるうちに取れてしまうし、気張りすぎたら引かれてしまう。


お気に入りのピンクのリップを塗って、もう一度変なところがないか確かめる。


よし。


玄関の扉を開けようとしたところで、澄んだ通知音が鳴った。


そうちゃんからだ。
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