名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
『真似しないでくれない?』

『そっちこそ真似するなよ』

『いやそっちが真似したんでしょ』

『は? そっちだろ』


睨み合いになってしまうと、お互い引けない。


なんだか引いたら負けな気がしていた。


『はいはいはい、俺が悪かった! ごめんな!』


結局、先生が仲立ちしてくれることになる。


多分クラスがばらばらだった二年生と三年生のときは、面倒臭いからあの二人離しておこう、ってなったんだと思う。


佐藤美里の方、と言われれば、『ほらわたしじゃん』『……もっと分かりやすく言ってくださいよ先生』ってなったし。


佐藤奏汰の方、と言われれば、『ほら俺じゃん』『……先生しっかりしてください困ります』ってなった。


毎回自分のせいにされた先生は苦笑していた。ごめんなさい。


でも、わたしたちは本気だったんだ。


本気でお互いを避けないといけなかった。

分かりやすく対立しないといけなかった。


だって、周囲の目がとても狭くて窮屈で、あんまりにも息苦しくて、そうでもしないとやっていられなかったから。
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