名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
「佐藤さん」
「うん、何?」
佐藤さんという呼びかけにするりと返事をしたわたしを見やって、そうちゃんはきつく唇を結んだ。
な、なんだろ。
あれかな、手汗かな。
手を見てたし、もしかして手汗が気になったのかな……!?
「佐藤さんは、……おまえは、」
物言いたげな視線が下に落とされる。
それはまるで、なんでだよ、とでも言いたげな不満のにじんだ瞳で。
「佐藤くん?」
なんでそうちゃん怒って、……そうちゃん?
自分の疑問に自分で答えを見つけた。
——そうか。
そうだ。
そうちゃんだ。
そうちゃんは、佐藤くんでも、奏汰くんでもなく、そうちゃんなのだ。
……おまえは、と、もう一度静かに呼んで、そうちゃんは真っ直ぐにわたしを見た。
「佐藤さん、佐藤くんって呼び合うの、なんか変な感じしないの」
——ずっと、そうちゃんはそうちゃんだった。
佐藤くんと呼び始めたのは、むしろ、ごく最近のことだったじゃんか。
「……佐藤くんって名字で呼ばれると変な感じするから、名前でいい」
「うん、何?」
佐藤さんという呼びかけにするりと返事をしたわたしを見やって、そうちゃんはきつく唇を結んだ。
な、なんだろ。
あれかな、手汗かな。
手を見てたし、もしかして手汗が気になったのかな……!?
「佐藤さんは、……おまえは、」
物言いたげな視線が下に落とされる。
それはまるで、なんでだよ、とでも言いたげな不満のにじんだ瞳で。
「佐藤くん?」
なんでそうちゃん怒って、……そうちゃん?
自分の疑問に自分で答えを見つけた。
——そうか。
そうだ。
そうちゃんだ。
そうちゃんは、佐藤くんでも、奏汰くんでもなく、そうちゃんなのだ。
……おまえは、と、もう一度静かに呼んで、そうちゃんは真っ直ぐにわたしを見た。
「佐藤さん、佐藤くんって呼び合うの、なんか変な感じしないの」
——ずっと、そうちゃんはそうちゃんだった。
佐藤くんと呼び始めたのは、むしろ、ごく最近のことだったじゃんか。
「……佐藤くんって名字で呼ばれると変な感じするから、名前でいい」