名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
次の休み時間も来るかな、と若干そわそわしながら待っていたんだけど、そうちゃんは来なかった。


……ちょっと残念だ。


その次の休み時間、つまり二時間目と三時間目の休み時間には、またひょっこり現れた。


「次何?」

「国語。現代文」

「じゃあロッカーだ。ごめん、ちょっと待ってね」


若干呂律が回り始めたそうちゃんと、二人でそのまま廊下に出て、ロッカーの鍵を開ける。


わたしのロッカーは下段で、荷物を取り出しやすいのがいい。


「前の時間何だったの?」

「世界史だった。世界史はロッカーに入れてたから」


なるほど、と頷きつつ現代文の教科書を探すと、透明な袋に入ったルーズリーフが見えた。


そうだ、わたしルーズリーフ持ってた。


「そういえばそうちゃん、ノートは? ルーズリーフいる?」

「ノートないけど、友達からルーズリーフもらってた。次ももら」

「じゃあこれ、丸ごと持ってっていいよ」


う、に被せてルーズリーフを差し出したわたしを、訝しげに見つめる切れ長の瞳。


「いや、いい」

「やだ」


って、にまたも被せたわたしに、いよいよ不審げな目が向けられた。


横から視線が刺さる。


「は? やだ? は?」

「うん、やだ」


……そうちゃんが遠慮するのなんか聞かない。


そんなの、知らない。
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