名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
他になんかないの? と聞かれたので、ご飯、と白米を指さすと、うろんげな視線が寄越された。


「……白飯ですけど」

「炊いた」

「え、作るに入るのこれ。炊飯器が頑張ったんじゃないの」

「確かに、初めちょろちょろ中ぱっぱはしてないけど」

「やっぱ炊飯器が頑張ったんじゃん」

「だから、卵焼きくらいしか作ってないんだよ」


今日はたまたま作れるほど早く起きられただけで、わたしは朝はほんとに弱い。

全然起きられない。


もともとお弁当を作ろうとはしていないから、早起きもしていないし、時間がなければそんなに品数増やせないし。


料理の腕は多分人並みだけど、主に時間的余裕の面から、手軽な卵焼きくらいしか、作ったと言えるものはないのだ。


卵焼きを凝視して、そうちゃんは梅干しみたいな酸っぱい顔で、苦渋の決断をした。


「……美里が作ったなら甘くても食べる」
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