名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
「ねえ、やっぱり付き合ってるよね?」

「うん?」


翌日、登校するなり友だち四人に捕まえられて、逃さない、と言うように四方を囲まれた。


おわあ、なんだろ、びっくりした。


なんの話だろう、と聞き返すと、みんな、ぐわりと目を見開いてわたしに詰め寄った。


「付き合ってる! よね!?」

「ええ? だから付き合ってないってば、そうちゃんとはただの幼なじみで」

「昨日! 学食で! あんなに堂々とイチャついてて! それで付き合ってないはずがないから!!」

「ど、堂々とイチャついっ……イチャついてないし!」

「食べさせ合いしてたじゃん、雰囲気ピンクだったじゃん」

「幼なじみなら食べさせ合いくらいするとおも」

「しない!」

「わたしはするんだって」


あと雰囲気ピンクじゃない。それは違う。

違うと思う。……多分。


「佐藤くんのこと、そうちゃんとか呼んでるのは?」

「呼んでいいよって言われたから」


あ、間違った、いつも呼んでたからって言えばよかった……!


この間違いが決定打になったらしい。


のろけか! と叫んだみんなに、わたしの否定むなしく、


いいから白状しちゃいなよ、別に付き合ってても隠すことないんだよ、


と生温い視線とともに言われ続けて、ひとまず違うと否定したのだけど。
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