名前で呼べよ。～幼なじみに恋をして～
「付き合ってるの？　って聞かれたときに、付き合ってないってわたしが言っても、ただの照れ隠しにしか受け取られないみたいだから、どうしようかなあって。

でも、わたしが勝手に付き合ってるよーとか、いつから好きだった、とか、告白はわたしから、とか言ったら言ったで、二人とも困るかなって思って」


そうちゃんはものすごく困ったように眉を下げて、黙り込み、しばらく無言で足を進めた。


目は合わない。


「…………ん、まあ、それはそうかも、しれない、けど」


二人で探り探り、少しずつ付け足していく。


「だから、どうしよっか？　っていう相談、です」

「そうですか」

「……はい」

「わかっ、た」


ぽつり、かすれた声で呟いてから、静かに質問が落とされる。


「……美里は具体的にはどんな感じで言うつもりだったの」

「えっと、付き合ってるよって言うとしたら、だけど」

「うん」


うわあうわあ、恥ずかしい。


強張ってほてるのをとうとう隠せなくなりながら、バレてないといいなあ、と、ちらり、そうちゃんを盗み見る。


不意打ちで目が合って、お互いにぱっと顔を反らした。
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