名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
「えっと、なるべく黙秘したいなあ、とは思ってるんだけど」

「うん」


前置きが長くなったのは、どうしようもなく照れているからだ。


……小さく深呼吸をして、赤いのがバレてしまっているならと、もう開き直ることにして。


そうっとそうっと、本当のことを混ぜた。


「いつから好きだったかって聞かれたら、幼稚園のときから好きだったよ、って。告白はどっちから? って聞かれたら、わたしからだよ、って。あとは」

「——告白、は」


そうちゃんがわたしを遮った。


低く抑えた、嗄れてかすれた声。


何か感情がにじんでいるのは分かるのに、その名前は分からなくて。

揺れた言葉尻に、一つ名前を思いつく。


……本当にそうならいいのに。


願って、願っていいのか迷って、うん、と静かに相槌を打った。


「告白は美里からじゃなくて、俺からにしといて」


息をのむ。


「俺が、好きって言ったって、言って」
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