名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
「……う、ん」


とてもすごいことを言われた気がする。


びっくりして返事もできずに固まっていると、そうちゃんが固い声で念押しした。


「…………聞かれたらだから」

「……うん、聞かれたら、聞かれたらだもんね、聞かれたら……!」


必死に言い聞かせて頷くわたしに、追い打ち。


「あと、さ」

「うっ、うん?」


声が裏返る。


「もし聞かれたらだけど。俺は、中三から好きだったって言っといて」


——う、わあ。


それは。それは、つまり。


そういうこと、だろうか。


いや分かんないけど! 多分違うけど!


「……わかっ、た。中三からね。聞かれたら、ね」

「……ん。聞かれたら」


顎を落とすみたいにしてなんとか相槌を打ったわたしに、そうちゃんは赤い顔で、「飲み物でも買う?」と提案した。


当然のように二人とも冷たい飲み物を買う。


それぞれあおって少し落ち着いて、話題を探して思い出した。


そうだ、明日朝会だ。話題転換にちょうどいいかな。


「ねえ、そうちゃんっていつも何時に起きるの?」

「五時半」

「早くない!?」

「そう? 美里は?」

「七時……」

「え……遅くない?」

「普通だよ! 多分!」

「遅いって」
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