名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
待って、ちょっと待ってそうちゃん。
違うんだって。
手汗を気にしてるんであって、手を離したいわけじゃないし、危ない目に遭いたいわけでもないから。
逃げようとしたんじゃないから。
「明日の朝、七時集合」
及び腰なわたしの手を、有無を言わさず恋人つなぎにするそうちゃん。
多分、抜けにくいようにだろうけど。
……くそう。嬉しいとか、嬉しいとか思っちゃったじゃないか。
わたしはこういうのに弱いんだ。
肩が触れる距離は保つのに、握った手に力を込めたり、足早に大股で歩いたりはしないそうちゃんの隣を、うつむきながら歩いた。
今わたしは、ものすごく緩んだ顔をしている自覚があった。
手をつないだり、約束を結んだり、朝、そうちゃんの隣を歩くことさえも、わたしにとっては一つ一つ新鮮で、大切で、どこか懐かしくて、甘いものだったから。
「七時に家出て。七時なら起きられる?」
「うん」
「危なすぎだから一緒に行く。いいよな?」
「もちろん!」
全然問いかけじゃなくって、もはや決定事項、事後報告なそうちゃんのお言葉に、思わず喜び勇んで即答すると。
「自分でも危ない自覚があるとかどんだけなんだよ……」
いや違うよそうちゃん、そうじゃない。
違うんだって。
手汗を気にしてるんであって、手を離したいわけじゃないし、危ない目に遭いたいわけでもないから。
逃げようとしたんじゃないから。
「明日の朝、七時集合」
及び腰なわたしの手を、有無を言わさず恋人つなぎにするそうちゃん。
多分、抜けにくいようにだろうけど。
……くそう。嬉しいとか、嬉しいとか思っちゃったじゃないか。
わたしはこういうのに弱いんだ。
肩が触れる距離は保つのに、握った手に力を込めたり、足早に大股で歩いたりはしないそうちゃんの隣を、うつむきながら歩いた。
今わたしは、ものすごく緩んだ顔をしている自覚があった。
手をつないだり、約束を結んだり、朝、そうちゃんの隣を歩くことさえも、わたしにとっては一つ一つ新鮮で、大切で、どこか懐かしくて、甘いものだったから。
「七時に家出て。七時なら起きられる?」
「うん」
「危なすぎだから一緒に行く。いいよな?」
「もちろん!」
全然問いかけじゃなくって、もはや決定事項、事後報告なそうちゃんのお言葉に、思わず喜び勇んで即答すると。
「自分でも危ない自覚があるとかどんだけなんだよ……」
いや違うよそうちゃん、そうじゃない。