名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
……今わたしの手の中にある何もかもを大切にしたい。
わたしの腕からあふれて、こぼれて、どれか一つでもなくしてしまわないように、全部をすくい上げて大きな宝箱に入れて鍵をかけたら、そうしてその宝箱を抱きしめていたい。
少し前まではオレンジ色の横顔だった。
そうちゃんは笑わず、ただ無口だった。
わたしはそうちゃんの、一緒に帰る人でしかなかった。
でも今は、朝から晩まで、横顔ばかりじゃなくなった。手をつないだ。デートをした。
そうちゃんはよく笑い、冗談を言ってとりとめもないことを話すようになった。
わたしはそうちゃんの一緒に帰る人で、佐藤美里という幼なじみで、美里という女子になった。
——あんまり幸せすぎて、むしろ現実味がないくらいだ。
今をなくしたくない。
このまま、叶うことならもう少し今の状態のまま、いつか、わたしが告白するまででもいいから。
そうちゃんと一緒にいる幸せに、まだ浸っていたいよ。
わたしの腕からあふれて、こぼれて、どれか一つでもなくしてしまわないように、全部をすくい上げて大きな宝箱に入れて鍵をかけたら、そうしてその宝箱を抱きしめていたい。
少し前まではオレンジ色の横顔だった。
そうちゃんは笑わず、ただ無口だった。
わたしはそうちゃんの、一緒に帰る人でしかなかった。
でも今は、朝から晩まで、横顔ばかりじゃなくなった。手をつないだ。デートをした。
そうちゃんはよく笑い、冗談を言ってとりとめもないことを話すようになった。
わたしはそうちゃんの一緒に帰る人で、佐藤美里という幼なじみで、美里という女子になった。
——あんまり幸せすぎて、むしろ現実味がないくらいだ。
今をなくしたくない。
このまま、叶うことならもう少し今の状態のまま、いつか、わたしが告白するまででもいいから。
そうちゃんと一緒にいる幸せに、まだ浸っていたいよ。