名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
次の日、ちょっと身構えたけど、そうちゃんは普段通りで変わらなかった。


「行くよ」

「うん」


無言。


「じゃ」

「じゃあね。ありがとう」

「ん」


これでおしまい。おしまいである。


……なんだかなあ。


次の日も。次の次の日も。その次の日も。


「行くよ」無言。「じゃ」の繰り返し。


……わたしばっかりだ。


当たり前の現実を分かっているつもりが再認識してしまって、切なくなった。


わたしばっかり、一喜一憂して、心臓がうるさくて、夢を見て。


わたしばっかり、片思いしている。
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