名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
薄暗くてじめっとした体育館裏が素敵でロマンチックかはまあ置いておいて、経路は二つある。
一方はあまり人に見られないけど、もう一方は教室からよく見える経路。
あの女の子は本当によほどショックだったらしい。
普通、泣きながら教室の目の前を通ろうとはしないはずなんだけど、混乱していたんだろうか。
泣いていなくても、体育館裏に行く道なんて告白とかやましいことがあるとか何かしらがないと行かないわけで、通っただけでいろいろ推測されてしまう。
行きは見なかったから、ちゃんと見えない方の経路を通って行ったんだと思うのに……、あ、男子も出てきた。
って、え。
見慣れたシルエットに固まった。
えっと。あれ。そうちゃん……?
「あれ佐藤くんじゃない?」
「うん、佐藤くんだね」
「佐藤くんほんとかっこいいよねー」
「だよね。目の保養だよね!」
ざわつくクラスメイトの言葉に、確信に変わった。
つきたくなった溜め息をこらえる。
「相変わらずモテるね、佐藤くんは」
「……うん」
そう。
そうなんだよね。
そうちゃんは、モテるのだ。
一方はあまり人に見られないけど、もう一方は教室からよく見える経路。
あの女の子は本当によほどショックだったらしい。
普通、泣きながら教室の目の前を通ろうとはしないはずなんだけど、混乱していたんだろうか。
泣いていなくても、体育館裏に行く道なんて告白とかやましいことがあるとか何かしらがないと行かないわけで、通っただけでいろいろ推測されてしまう。
行きは見なかったから、ちゃんと見えない方の経路を通って行ったんだと思うのに……、あ、男子も出てきた。
って、え。
見慣れたシルエットに固まった。
えっと。あれ。そうちゃん……?
「あれ佐藤くんじゃない?」
「うん、佐藤くんだね」
「佐藤くんほんとかっこいいよねー」
「だよね。目の保養だよね!」
ざわつくクラスメイトの言葉に、確信に変わった。
つきたくなった溜め息をこらえる。
「相変わらずモテるね、佐藤くんは」
「……うん」
そう。
そうなんだよね。
そうちゃんは、モテるのだ。