名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
顔が整っているのは言うまでもなく、人との距離が絶妙に近いのも実にくすぐったく乙女心をくすぐり、あしらいがうまくて気遣いができるとかどこの王子さまだ。

しかもさりげない。


何が言いたいかというと、そうちゃんはとても優良物件な正統派イケメンだということ。


万人受けするのだ。


頭は普通にいいし、運動も普通にできるし、ピアノも弾けちゃったりなんかして、なんでも要領よくこなすから、とにかく目立つ。


できる普通が多い破格のオールマイティさで、よく分からないうちになんだか目立っている。


それでどこか近寄りがたい憂いも垣間見えるものだから、とにかくよくモテる。


どこか一つは大抵の人の好みに当てはまるなんて、そうちゃんはいろいろ備えすぎているんじゃないかなあと常々思う。本当に。


そうちゃんは、長所も短所も、どことなく魅力的に見える。


だから告白が絶えなかった。


「…………」


なんとはなしに周囲から向けられる、同情のような、憐憫のような、慰めのような生温いまなざしを、曖昧に笑って流す。


わたしは視線を受け流すのばかり日に日にうまくなる。
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